うらにわ

絵とか日記とか

冬と本とあおとぐ

こんにちは。おひさしぶりです。さちこです。

気ままに更新なので長らく間が空いてしまいました。季節巡ってあっというまに冬です。毎日さむいです。

秋に入って涼しくなってからというもの、家に引きこもってずっと本を読んでいます。わたしは頭痛持ちなのでスラスラ文章が読めるときと何回読んでも頭の中に文章が入ってこないときがあります。

けれど、調子のいいときはそれほど時間をかけずにサクッと本が読めるので楽しいです。

本はたいてい図書館に行って借りてくるか古本屋で調達してきます。わたしは自分の中に本を選ぶ時のルールが明確にあって、それはたとえばこんなようなことです。

 

・主観が強すぎない

・サスペンスはOKだけど暴力的なシーンがあまりない

・文章が淡々としていて感動的すぎない

 

などです。

これは自分の中では絶対に外せない要素なのですが、全てをみたす本を見つけるのは結構むずかしいです。事前にネットで淡々とした文章を書く作家さんを探したり、買う前にしばらく立ち読みしたり。けれど立ちながら読むとやっぱり頭が痛くなるのであまり使えません。正直すごくめんどくさいです。

なら守らなければいいじゃないてなるのですが、自分の中のルールをきちんと守らないと、本の物語や文章に影響を受けすぎて途中で読めなくなったり、読み終わってから一週間くらい心の底にべったりイメージが張り付いてイライラしたりしてしまいます。

 

たまに本屋さんに行ってたくさんある本をぼんやり眺めていたときに、表紙が気に入って買った本もいくつかありますが、ほとんどが失敗することが多いです。

そういう本は、本棚にあって目に入るだけでも思い出してもやもやしてしまうので、すぐに売ってしまいます。

 

逆に気に入った本はずっと手元に置いておきたくなります。たまーに適当なページを開いたり、すごく気に入っている文章を読み返したりします。

それはたとえば、サリンジャーライ麦畑でつかまえてで、ホールデンがフィービーに割れたレコードを渡すシーンだったりします。

お気に入りの文章は何度読み返しても幸せな気持ちになります。好きな本が本棚に並んでいくのはとても楽しいです。家では、家族もわたしの本棚のものを読んだりするので、ずっと紙媒体のままです。

かさばりますが紙の本ならではの、インクの匂いやページをめくるときの気持ち良さや、読んでいるとずり落ちていく表紙や、古本屋で買った本にはさまった誰かの可愛いしおりとかが好きです。

 

古本屋で買った本にはいろんな発見があります。以前みかけた本は、教師と生徒さんが写っている写真が挟まれていました。写真の裏を見ると韓国語の文字が書かれていて思わずこの本がどういう経緯でこの古本屋に流れ着いたのかを想像してしまいました。

よく読み込まれている本はページがめくりやすいし、紙が茶色っぽく変色しています。お家の匂いがしみ込んでいることもあります。

逆に買ってからすぐに売られてしまった本は綺麗なまま、ページも張り付いてたりします。新品の本を買うのとはまた違った面白さがあっていいなあ、と思います。

 

話がだいぶそれてしまいましたが、みなさんは本を読むときのルールなにかありますでしょうか?

オススメの本とかあったらマシュマロでこっそり教えてもらえるとうれしいです。(SFやファンタジー小説が好きです……。)

 

 

 

 

 

 

ここからは以前書いたものを載せようと思います。小説を書こうとしたのですが、いざ書いてみたら長い文章を書くのが難しく、メモのようになってしまいました。

あおとぐメモです。ゆるーい目で見てやってくれると嬉しいです。

トグサ視点です。アパートでだらだらしてるふたりの話。

 

 

 雨が降っている。

 今日はどこにも行けそうにない。せっかくの休日なのに。

 自然と口から大きなため息が出た。

 本当は彼と一緒に大きなショッピングモールに行く予定だった。意外にも甘いもの好きな彼のために、新しくできたスイーツのお店に案内しようと思ったのだ。

 車はない。歩いて行くのも、きっとびしょびしょになるだろう。

 

「スイーツは?」

彼は、俺の横に腹ばいになり、コミック誌を読みながらこちらを見上げてくる。

「うーん。今日はダメかなあ。来週にしよ?」

「…」

 

 ポーカーフェイスな彼の顔では、残念そうには全く見えないのだけど恐らく凹んでいるのだろう。いちごの乗った、白い生クリームのパリパリのパイを食べるのを想像していたに違いない。ここ一週間は甘いお菓子やケーキを控えているように見えた。

 俺もショーケースに並べられたたくさんのケーキを想像する。いちごやバナナ、白桃にみかん。さまざまなフルーツが生クリームとスポンジの上にまるで宝石のようにキラキラと輝いている。思わず生唾をごくりと飲み込んだ。

 

 窓の外を眺める。

 ガラスに叩きつける雨水は、まるで滝の裏側をみているような気がした。どんよりと厚い雲は幾重にも重なって光を通さない。外は暗く、家の中は明るい。

 

「ねえ、映画見ようか」

 

そう声をかけると、彼はむくりと起き上がる。

 

 ゆっくりとした動作で、DVDの並んだ棚へと足を運ぶ。彼のお気に入りがたくさん詰まっているのだ。ジャンルがごちゃまぜに見える並びにも、ちゃんと彼なりの基準があるらしい。

 例えば、子供向けの明るい映画の隣にはシリアスなものを並べない。それから、アクション系でもカンフーアクション映画は別のところに鎮座してるし、すごく好きで何回も見返す映画は、すぐに手の届く真ん中の方に配置されている。

 棚の配置は彼の気分でコロコロと変わるので、たまに俺はじっくりと棚を眺めてみる。左上は古い白黒映画が多く、下は新しい物が多いように思う。よくよく観察すると彼の映画に対する気遣いが垣間みえて面白い。

 今はこのジャンルが彼の中での流行りなんだろうなとか、これは世間的には評価が低いけれどすごくお気に入りなんだなとか、この監督のものはジャンル分けせずにきちんと揃えて置いてあるなとか。

 俺は彼の作った映画の棚を眺めていると幸せな気持ちになる。彼なりのルールで分けられたそれを見ていると、まるで彼の心にそっと触れているような気分になるのだ。

 

 じっくりと映画を選ぶ彼を横目に、台所に行きミルクパンを取り出し、お湯を沸かす。カップティーポットを温める。茶葉の入ったカンカンを開けると、台所にふわっと香りが広がった。

 

「これ」

いつの間に決めたのか、彼が後ろに立っていた。手に持ってるのは、フードトラックの描かれたオレンジのパッケージ。まだ見たことがないやつだ。

 

「たのしい?」

「はい」

「そう。よかった」

 

 お湯が沸いた。

 手際よくティーポットへとお湯を注いで蓋をする。だいたい3分くらいだろうか。

 レモン柄のお盆にカップティーポット、それからこの間、少佐にもらったクッキーを乗せる。

 

「これ、もらったのよ。でも…わかるでしょ?だから、ふたりで処理してくれないかしら」

 

 一体どこの誰からクッキーなんて可愛らしいものをもらうのだろう。上司といえど、彼女のプライバシーをあまり知り得ない俺からすると、謎は深まるばかりだ。

 ふたりで、というところがまた引っかかる。彼との生活は、誰に話したわけでもないのに。

 

 電気を消して、仲良くソファに腰掛けた。柔らかい素材に体が沈み込んでフィットする。真っ暗な画面から、映像が始まる。

 彼は、ゆっくりとこちらに体重をかけ、俺の肩に自分の頭を軽くのせた。服越しにじんわりと体温が伝わって来る。それから、彼は俺のシャツの端を掴んで、匂いを確かめるように鼻によせた。以前、気になって聞いたことがるのだが、どうも安心するらしい。どんな匂いがするのだろう。自分ではわからない。

 

「ねえ、雨の日の映画っていいよね」

 「そうですね」

「雨が降ってるときの家の中って守られてる気がして、安心する」

「はい」

「来週は、晴れるといいね」

「はい」

「スイーツ、何食べようかなあ」

「いちごがいいです」

「そうだねえ」

 

 雨音が強くなる。ふたりの会話を包み込むようにかき消す。映画のボリュームを上げた。

 こんな日も悪くはないかなと思う。きっと、明日も雨なのだろう。けれど来週には上がるだろう。そしたらふたりで ショッピングモールに行こう。彼と一緒に出かけることに意義がある。長く長く続く、日々のたからもののような時間なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでお読みいただきありがとうございます!

みなさん風邪を引かないように毎日暖かくしてお過ごしください。

ではまた〜